「食料・農業・農村基本法」の改正法が令和6年5月29日に成立し、同年6月5日に施行されました。1999年の制定から四半世紀を経て、初めての改正となり、日本の農業は大きな転換期を迎えましたが、日本の農業の舵取りをするための基本の法律であり、様々な農業政策がこの基本法に基づいて実施されることになります。又、改正基本法により新たな農政の実現に向けた施策を具体化させるため、次期の食料・農業・農村基本計画が策定され、我が国の食と農の持つ魅力が持続的に発展し、次世代を含む国民生活の安定や国際社会に貢献する国民全体の取り組みの指針として計画的に推進して行く事が重要となります。
国外に目を向けると、ロシアによるウクライナ侵攻、新興国の市場拡大、地球温暖化による各国の異常気象などを背景に、世界の食料情勢も大きく変化しています。国際的に食料需給が不安定化する中で、日本に輸入される食材や家畜の飼料の価格は高騰しており、食料安全保障上のリスクは依然として高まっています。
そのような中、今年度は昨年開催された第31回JA北海道大会の実践1年目となり、食料自給率の向上や農家の担い手確保などをめざす「将来ビジョン」の決議により、本年度から2030年度まで6年間の指針となる「基本目標」を採択しました。今回は「腰を据えた取り組み」として、3年後の第32回大会は中間見直しとする大会の機会とされています。採択した基本目標は「食料安全保障の強化と持続可能な北海道農業の確立」「JAの組織基盤の強化と健全な経営基盤の確立」「農業・食・JAへの理解醸成」の3項目とし、農業・JAを取り巻く環境や今後の展望を踏まえ、JAグループ北海道が一丸となって実践するべき事項に焦点を絞った内容となっている事から、引き続き組合員の生産性と所得向上に向けて取り組んで参ります。
通信不感地帯施設整備事業につきましては、令和5年度より通信の不感地帯解消策を模索した取り組みの中で、当初は最上地区を2年間の調査・実証モデル地区として進めて来た経過にあります。モデル地区に於ける実証での実用性が確認出きれば、施設整備事業として令和7年度事業実施に向けて導入を検討しておりました。しかしながら、本事業の取り組むべき施設整備内容に基づき、事業実施主体先の検討や導入した場合の高額な事業費等の関係も含め、実施年度を令和8年度に延長させて頂きましたので、今後も関係機関と協議を進めながら導入実施を目指して参ります。
基盤整備事業につきましては、本年2月で国営農地再編整備事業が受益者皆様のご理解とご協力により無事10年間の期間を経て完了致しました。今後は、現在実施しております道営畑総事業に加え、令和9年度の採択に向けた新規道営畑総事業の計画協議を進めて参ります。
第10次農業振興計画の2年目の実践としては、初年度の実践取組を検証した中で振興計画の基本である「対話の実践」「ひとづくり」を主軸として各重点施策に取り組むことで基本テーマである「強い農業と豊かな魅力ある農村」の実現に向けて取進めるとともに、第31回JA北海道大会の決議事項にも反映させながら、実践に繋げて参ります。
中期経営計画では、令和6年度に更新致しました小麦乾燥調製施設と新設スケール棟が無事に稼働し、処理能力の向上による適期収穫と受入れ作業を効率的に連携して取り進める事が出来ました。今年度は施設事業の更なるスケールメリットを最大限に発揮出来るように、系統事業結集への推進強化を図ります。又、農業者の高齢化と後継者不足を補う労働力支援としたコントラクター事業においては、作業上での課題点を改善した中で更なる効率化と拡充に向けて取り進めて参ります。
施設計画では、加工馬鈴薯コントラ事業機能向上対策としてアームロール車の増車他、総額76,306千円を計画致しました。
JA運営面では、引き続き経営基盤の安定と健全性を目指し、自己資本の充実と事業利益確保に向けた財務運営の堅実性を図って参ります。その為には、組合員皆様の負担増加となりますが、賦課金の見直しや経費節減、事務効率化による部門別内部統制の確保に努めて参ります。
農業・JAを取り巻く環境は、今後も著しく変化を増して来ます。国際的な経済情勢による農畜産物や農業資材価格の変動、大規模な自然変異による災害など先行き不透明であります。
そのためにも、今こそ協同組合組織とした理念と相互扶助の精神を事業の拠り所とし、役職員一丸となり事業推進に取り組んで参りますので、組合員皆様のご理解とご協力を賜りますことをお願い申上げ、基本方針と致します。